創業融資に申し込むには、事業計画書(創業計画書)を作成する必要があります。この事業計画書が融資の可否を判断するための重要な材料となります。
そこで今回は、事業計画書の書き方のポイントや注意点などを解説していきます。
Contents
創業融資における事業計画書の書き方
ここでは、日本政策金融公庫の創業計画書を例に、記載の仕方を紹介します。
創業の動機

創業計画書で最初に記載するのが創業の動機です。
これから創業する方は、創業したいと思った自分なりの理由があるはずです。取ってつけたような言葉ではなく、自分の素直な想いを記載しましょう。
記載欄が4行しかないため、伝えたいことが多い場合はスペースが足りなくなります。その場合は、A4サイズほどの別紙を用意して記載しましょう。ただし、文章量が多ければいいという訳ではなく、読みやすいようにまとめることが大切です。
経営者の略歴等

経営者の知識やノウハウは、事業開始後の運営に大きな影響を与えるため、経営者の略歴は重要です。
ただし、審査に通りたいからと言って、経歴詐称してはいけません。面談で略歴について聞かれるので、これまでの経歴がどのように事業に役立つかを説明しましょう。
取扱商品・サービス

取扱商品・サービスについて他社との差別化やターゲットなどを論理的に説明できれば、事業について具体的に検討していると伝わります。
現代では集客するための方法は、紙媒体の広告やインターネット広告・SNS・オウンドメディアなど多様化しています。どのように集客するか・なぜその集客方法が自社の商品に適しているか、なども記載しましょう。
取引先・関係先等

既に事業を開始している方は、販売先や仕入れ先との取引条件を記載します。安定した取引先があれば、融資を受けやすくなります。これから事業を始める方は、取引を予定している事業者と取引条件などを具体的に打ち合わせして記載しましょう。
取引先がない・条件が決まっていない等の場合は、事業が具体的になっていないと判断されて不利になる可能性があります。
従業員

既に事業を開始していて従業員を雇っている方はその人数を、これから事業を始める方は雇用予定の人数を記載してください。この欄は融資審査の結果には影響しません。
お借入の状況

ここでは住宅ローンや車のローンなど、借り入れているものがあればすべて記載します。借入が多すぎると毎月の資金繰りが厳しくなるため、審査に悪影響を及ぼす可能性があります。
日本政策金融公庫は信用情報機関に申込者の情報を照会することがあります。虚偽の記載をすると担当者からの信頼を失ってしまうので、正直にすべての借入を記載しましょう。
必要な資金と調達方法

創業するのにいくら必要になり、資金をどのように調達するのかを示す欄です。創業計画書の中でも重要な項目なので、それぞれの費用にたいして見積りを取り、金額に信ぴょう性を持たせましょう。
また、自己資金が多ければ借入の割合が少なくなるため、返済に追われることがなくなり、経営が安定します。日本政策金融公庫 総合研究所の「2022年度新規開業実態調査」によると、2022年度の開業時の資金調達額の平均は1,274万円、そのうち自己資金は平均271万円でした。
開業にかかる費用のうち約21.3%を自己資金でまかなっている計算なので、この数値を自己資金の目標にするといいでしょう。
事業の見通し

事業の見通しで記載する金額は、借入金を返済できるかに深く関わってきます。問題なく返済できることを示すために、それぞれの項目に根拠のある金額を記入しましょう。
例えば、売上高であれば単価〇円×個数で計算しますが、時期ごとの売上の変化も説明できるようにしてください。個人事業主であれば利益は、借入金の返済・生活費・税金や社会保険料を無理なく支払える金額が必要です。
必ずチェックされる項目なので、事業に必要な資金だけでなく生活面も含めてトータルで説明できるようにしましょう。
まとめ
創業融資における事業計画書は、融資の可否を判断するための重要な書類です。融資審査に通るためにも、客観的で説得力がある内容を記載してください。
日本政策金融公庫の創業計画書では、経営者の略歴等・必要な資金と調達方法・事業の見通しの欄が特に重要です。
創業計画書だけで説明しきれないのであれば、別紙に記載するなどして事業の有益性を説明しましょう。
また、創業融資については、こちらの記事もあわせてご参考にしてみてくださいね。