61歳の時に革小物のネット販売事業を始めた起業家の実例をご紹介いたします。

起業の経緯

私は機械メーカーに営業職で入社し、事務を合わせて35年の間勤務しておりました。
朝から晩まで拘束されていた営業職から、繁忙期以外は就業時間にある程度余裕のある事務職に異動になってからは、趣味でものづくりを行うようになりました。中でも革小物は若い時から集めることが趣味だった為、作り手としても特に力を入れておりました。
自信のある作品は、妻の縫い物と一緒にフリーマーケットで出店することもありました。
そんな中、60歳手前頃から定年後の人生を考えるようになりました。嘱託として慣れ親しんだ会社に居続けることも考えましたが、自宅から職場までの通勤ラッシュが辛い事や今まで働き詰めていた分、これからは趣味を楽しむ時間を多く取りたいという思いから定年には退社することを決めました。
旅行好きな妻と悠々自適な生活を暮らすことも考えましたが、これからの年金受取額と現在の生活レベルを妻と相談した考えた結果、少ない収入でも得られる仕事を行うこととしました。パソコン関係の仕事をしていた娘の後押しもあり、元々趣味としていた革小物を通信販売することとしましたが、定年後からの起業よりも早いうちに事業を始めたいと考えるようになり、早期退職の決断に至りました。

開業準備

会社員時代には、起業の知識を持つ人が周りにいませんでした。始めの内は独学で起業を行うことも考えましたが、調べていくうちに税金や国からの補助金といった専門知識が必要となり、こちらの税理士の先生に相談することにしました。
資金面では、早期退職制度を利用した事である程度の退職金が会社から支給されていましたが、店舗を持たない分、少ない開業資金で事業を始めることができました。
販売面では、会社員時代から作製してきた小物を商品として、娘の協力を得てホームページを作成し、開業の準備を行いました。

創業時の苦労

開業後は自らのホームページでのネット販売を主な販売チャネルとしていましたが、お客様の閲覧数が少なく、開業してからの半年間の売上は0円でした。元々の投資額が少ない為、生活に支障をきたすことはありませんでした。
しかし作り手として多くのお客様に使ってもらいたいと考えるようになり、大手の通販サイトに掲載し、売上の一部を支払うという販売チャネルを新たに導入しました。そこで他の出品者の方の作品アイデアや写真の撮り方、価格設定を参考にした結果、利用してくださるお客様も増えました。
今後も自分のペースで作品を作って、家族の時間を過ごしていきたいと思います。